[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 : ─────『終わらせる方法』探す?

[メイン3] 立花 悠太 : 諦めたみてぇに口に出してんじゃねぇよ。

[メイン3] 立花 悠太 : それを聞く側がどんな気持ちになるのかすらも想像できねぇのかよ。

[メイン3] 立花 悠太 : これが仮に、植物園のイベントの一環だとしてだ。

[メイン3] 立花 悠太 : 命の大切さを知ろうみてぇな、そんな企画で、まるで小学校で豚をクラス一丸となって飼い、丹精込め、愛情も込め、育て上げた後美味しく平らげるみてぇなよ。

[メイン3] 立花 悠太 : 命に感謝しましょう~みてぇな。

[メイン3] 立花 悠太 : ああいうの、大嫌いなんだよな。

[メイン3] 立花 悠太 : 大人げなくも、不機嫌な色を表情に浮かばせながら、左の部屋の扉を開ける。

[メイン3] GM : この部屋の扉は真ん中や右の扉より明らかにボロボロで、蹴ってしまえば崩れてしまいそうなほどです。

[メイン3] GM : 中に入ると、植物のツタや葉が伸び放題の小さな温室のような部屋だということがわかるでしょう。
先ほど居た四角い部屋と比べると、中はしっとりと温かく、心地いいとも感じられる。
奥にはゆったりとしたチェアがある。

[メイン3] 立花 悠太 : 目を細める。手入れの行き届いていない、湿った空気の漂う、閉塞的な場所。

[メイン3] 立花 悠太 : ゆっくりと歩み、チェアへと手を預ける。年季を感じる、ような気がした。

[メイン3] GM : チェアには手記、そして手のひらにおさまるほどの小さな箱が置いてある。

[メイン3] 立花 悠太 : 「……これは」
手記を手に取り、頁を捲る。

[メイン3] 手記 : 古びており、ところどころ紙が破れている。
中を読むと、持ち主の日常がつらつらと記されている。特に、持ち主と行動を共にしていた少女のことが
多く書かれている。最後のページには、

「あの子はスイカズラの花であって、そうでない。なにか、特別な働きがあって枯れることがないのだ。
自身の種を落とし、また芽吹けば少しの記憶の欠落と引き換えに、同じ個体として生まれ変わることが
できるのだ。彼女の終わりたいという願いを叶えるのならば、彼女の本体とも言っていいプランターに芽吹いている
スイカズラの花を抜けばいいだろう。そうすれば生まれ変わることなく自然と枯れ、死ぬはずだ。
…しかし、私はまだ彼女と居たい。美しい彼女をずっと見続けていたい。
これは私の身勝手だ。どうせこの老いぼれは長くはもたない。どうかそれまでは…」

と書かれている。日記はここまでのようで、後には白いページが残っているばかりだ。

[メイン3] 立花 悠太 : 「……どういう、ことだ」

[メイン3] 立花 悠太 : 男は呟いた。低いトーンで、書かれた文章に対し。

[メイン3] 立花 悠太 : 浮かぶ疑問は、幾つもある。

[メイン3] 立花 悠太 : まず、だ……。『枯れない』、か。
さっき、あのガキが口にしていた、『終わることができない』ってのは……そういうことか。
……すると……じゃあ………なんだ─────?

あのガキは、『人間』じゃない、とでも言うのか?

[メイン3] 立花 悠太 : それとも、そういうセッテイ、ってやつなのか……?

……そう思い込もうにも、何故だろうな。俺にはどうも、すんなりと飲み込むことが、難しく感じられた。

[メイン3] 立花 悠太 : この日記が、『作り物』には感じられなかった。
何故かって?
いいや、別に、何か理由があるわけでもない。

[メイン3] 立花 悠太 : ただ、単純に……『生きた』字だと、俺はそう思った、感じた。
それだけだからだ。

[メイン3] 立花 悠太 : いや、じゃあ、すると、だ。

[メイン3] 立花 悠太 : 「この日記は……誰が書いたんだ……?」

[メイン3] 立花 悠太 : 「……仮に、万が一に……だ─────」

[メイン3] 立花 悠太 : 「この場所が、イベントでも、アトラクションでも、なんでもない……… ……memeにある、Backroomsのような場所だとするのなら」

[メイン3] 立花 悠太 : 我ながら、何を口にしているのだろうかと思う。
ただ、この非現実的な空間が、俺の思考をどうしてもそちらへと導く。

[メイン3] 立花 悠太 : 見て見ろよ、他に扉も無ければ、窓も無い。
壁の向こうから何か、外の音が聞こえるわけでもない。

[メイン3] 立花 悠太 : 「………他にも、俺達以外にも、ここへ来た奴がいた…… ……ということなのか?」

[メイン3] 立花 悠太 : ………だから、なんだという話だと言われたら、それまでなのだが、俺にとっては、十分な引っ掛かりだった。歪に感じられて仕方が無かった。

[メイン3] 立花 悠太 : 手記を閉じると……次に目を向けるは、小さな箱だった。

[メイン3] 立花 悠太 : 立花は、蓋を開いた。

[メイン3] GM : 小さな箱を開けると、中に細くて白い小さな棒切れが入っている。

[メイン3] GM : 《アイデア》または《医学》を振れますね。

[メイン3] 立花 悠太 : CCB<=70 アイデア (1D100<=70) > 6 > スペシャル

[メイン3] GM : これが人骨であると感づいてしまう。ここに自分たちと同じように迷い込んだであろう人間が、死んでしまいこんな小さな箱にに納まってしまっていること、そして自分たちもここに閉じ込められ続ければこの人と同じ末路をたどってしまうのだろうか、と想像してしまう。SANc(1/1d3)

[メイン3] 立花 悠太 : 1D100<=80 正気度ロール (1D100<=80) > 54 > 成功

[メイン3] 立花 悠太 : 80→79

[メイン3] 立花 悠太 : 「─────っっ……!?!」

[メイン3] 立花 悠太 : 嘘、だろ。

[メイン3] 立花 悠太 : 見覚えがあった。

葬儀場で見た、親父のそれと、同じだった。

[メイン3] 立花 悠太 : 不意打ちだった。

[メイン3] 立花 悠太 : まさか─────こんな場所で、人骨を拝むことになるなんて、予測するはずも無いのだから。立花の精神は、大きく揺さぶられた。

[メイン3] 立花 悠太 : しかし、投げ出すことは無かった。
─────仏様だ。

[メイン3] 立花 悠太 : むしろ、慌てながら、狼狽えながらも、掌から落とさなかった俺を、誰か褒めてほしいくらいだ。

[メイン3] 立花 悠太 : 冷や汗を浮かばせながらも……神妙な面持ちで、小さな箱に仕舞われる、誰かの人骨を見やって、やるせない想いへと駆られる。

[メイン3] 立花 悠太 : 「……手記には、『老いぼれ』……そう、書いてあったな」
眉を顰めながら……揺り籠を彷彿とさせるような、古いチェアへと目を向ける。

[メイン3] 立花 悠太 : 「すると、こいつは……アンタのもので、違いないな?」

[メイン3] 立花 悠太 : 返答は、返ってくるはずもない。
ただ、あるのは湿気た空気の中にある、静寂。

[メイン3] 立花 悠太 : 「……その椅子に座っていたのも、アンタか」

[メイン3] 立花 悠太 : 「なぁ、アンタは、どんな気持ちで、逝ったんだ?」

[メイン3] 立花 悠太 : 当然、返ってこない。

[メイン3] 立花 悠太 : 「………『幸せ』に、枯れたのか?」

[メイン3] 立花 悠太 : 目を、細めた。哀愁の表情を浮かばせながら。

[メイン3] 立花 悠太 : ……静かに、小さな箱を閉じる。

[メイン3] 立花 悠太 : 「俺としちゃ、誰にも気づかれねぇような場所に、ぽつりと置かれてるアンタが、気の毒で仕方ないと、勝手にそう思っているんだが」

[メイン3] 立花 悠太 : 「……きっと、アンタにとっては」

[メイン3] 立花 悠太 : 「『違う』」

[メイン3] 立花 悠太 : 「……そうなんだろ?」

[メイン3] 立花 悠太 : 「なぁ、爺さん、アンタは俺を脅かしたんだ」

[メイン3] 立花 悠太 : 「だから、ちょっとくらい非礼を許しな」

[メイン3] 立花 悠太 : そう口にすると、煙草を取り出し、着火した。
紫煙が燻る。

[メイン3] 立花 悠太 : 煙を吸うと、意識が無になる。
騒がしい胸も、徐々に落ち着きを見せる。

[メイン3] 立花 悠太 : 別に、美味しくて煙草を吸ってるわけじゃない。

[メイン3] 立花 悠太 : ……ただ、落ち着くから。そんだけの為に、吸っている。

[メイン3] 立花 悠太 : 湿った空間へと消えてゆく、何者にも囚われることのない煙を見届けながら。

[メイン3] 立花 悠太 : 「─────アンタは、きっと、さぞかし」

[メイン3] 立花 悠太 : 「いい『花』を咲かせたんだろうな」

[メイン3] 立花 悠太 : 独り、ごつ。

[メイン3] 立花 悠太 : 「………死したる者は、皆全て、次を生きる種を残す」

[メイン3] 立花 悠太 : 「アンタが、満足にここで朽ち、枯れた命は、『芽吹く』」

[メイン3] 立花 悠太 : 「このまま、この場所で安眠したかったら、化けて出て俺を止めな」

[メイン3] 立花 悠太 : 「アンタは、俺が連れていく」

[メイン3] 立花 悠太 : 蓋を閉じると、手記と共に、立花は部屋を去らんとする。

[メイン3] 立花 悠太 : 出口の前で止まり、ゆっくりと首を半分だけ振り向かせる。

[メイン3] 立花 悠太 : ……ぽつりと、そこに佇む、揺り籠のような、古めかしいチェア。

[メイン3] 立花 悠太 : ただ、見やるのみ。言葉に紡ぐ物は、何一つとして無し。

[メイン3] 立花 悠太 : 漆を塗したような瞳は─────黙祷を捧げ。

[メイン3] 立花 悠太 : 扉を、閉めるのだった。

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 : ─────適切に調整された気温に、湿度。

[メイン3] 立花 悠太 : 肌に直に伝わる環境状態に、自身が元の場所へ還ったことを悟る。
……漆を塗したような瞳には、濁りがあった。
普段からも無気力で、無表情な、それでいて柄の悪い表情に、陰りがあった。

[メイン3] 立花 悠太 : 「………………」
ポケットに手を入れる。
……小箱は、消えていた。するとなると、あの骨も取り残されたままだ。

[メイン3] 立花 悠太 : 口には、咥えたままの煙草。
園内喫煙禁止の看板があったことを思い出すが……。

[メイン3] 立花 悠太 : 押し付けてんじゃねぇよ。

[メイン3] 立花 悠太 : 不貞腐れ、紫煙を吸うのだった。

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 : ─────いずれ、『枯れる』。

[メイン3] 立花 悠太 : 人も、物も、花も、そうだ。

[メイン3] 立花 悠太 : どれも等しく、同じ形で終わりを迎える。

[メイン3] 立花 悠太 : だから終着駅のことなんざ、考えたって意味がない。

[メイン3] 立花 悠太 : 道中に止まる駅から見える景色を、一体どれだけ見ることができたか。

[メイン3] 立花 悠太 : どのような色の、どのような形の、どのような匂いの、どのような特性の、どのような花弁を持つ『花』を咲かせたか。

[メイン3] 立花 悠太 : そこにきっと、生まれてきた『意味』がある。

[メイン3] 立花 悠太 : ……いや、本当は、生まれた意味なんて、どこを探しても見つかりやしないんだろうが。

[メイン3] 立花 悠太 : 俺は、そう思っている。俺個人がな。

[メイン3] 立花 悠太 : ……あいつらは、『花』を咲かせたんだろう。

[メイン3] 立花 悠太 : だが、その『花』はもう、どこにも無い。
あいつらの花壇にも無い。

[メイン3] 立花 悠太 : それが無性に、気に食わなかった。
実に、不都合な理だった。

[メイン3] 立花 悠太 : 立花は、不愉快そうに、腹を立てた表情のまま、園内に咲く花を、見やるのだった。

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 : 勿忘草を。

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 :  

[メイン3] 立花 悠太 :